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災害での困りごとNo.1!もしものときの「トイレ対策」は万全ですか?

大きな災害が起こった時に備えて、多くの方は食品や飲料水の備蓄をおこなっていると思います。また、家具が倒れないような備えをしている方もいるでしょう。
もちろん、それらの準備はとっても大切ですが、ほかにも忘れてはいけない重要な防災対策アイテムがあります。それは「トイレ」です。人が生きるためには「栄養をとること」「ゆっくり眠ること」「しっかり休息すること」と同じように「排泄」も大切な生理現象です。

日本は世界的に見ても、トイレ先進国。そのため、非常時にトイレが使えなくなる状況を、日ごろからあまり想定していません。水・電気・ガスがストップしてしまっても、安心してトイレが使えるでしょうか?
命にもかかわる「災害時のトイレ問題」。
本記事では、いったいどのような状況が起こり、どんな危険が考えられるのか、考えてみたいと思います。

災害発生!命を守ったあとに起こる「トイレ」が使えない事態とは?

災害発生!命を守ったあとに起こる「トイレ」が使えない事態とは?

地震・台風・大雨などの自然災害では、まず命を守るための行動が優先されます。まずは、けがに気をつけて安全に避難をすること、火災などの二次災害が発生しないように環境を整えることなどが必要です。
そのあとに、避難所・自宅・職場・車中など、さまざまな場所で安全を確保して避難を続けます。防災用品として、水や食料品・懐中電灯・毛布などは用意している方は多いでしょう。

しかし、トイレの準備ができていないケースがよくみられます。自宅のトイレが使えなくなったら、避難所のトイレを使えばよいと頼り切っていないでしょうか。避難所でも、在宅避難でも、ライフラインが止まってしまえば、水洗トイレが使えません。トイレを我慢すると様々な病気のリスクも考えられます。
そこでまずは、災害時に起こる「トイレ」問題とは、どのようなものかをしっかりと理解しましょう。

水が使えない!水洗トイレの盲点

大きな災害時には、水道・ガス・電気などのライフラインが停止することが考えられます。日本のトイレの90%以上が「水洗トイレ」です。停電や断水が起こると、水洗トイレが使えないために排泄物を下水に流せず処理ができない事態となることも・・・
衛生的で使い勝手のよい水洗トイレですが、水道が使えなくなったときには水洗トイレとしては利用できないというデメリットがあります。

配管破損で汚物があふれてくる!?

災害時の対策として雨水を貯めておき、いざというときに利用する方もいます。断水時には、そのように貯めておいた水やおふろの残り湯などを使い、バケツなどで一気に流して処理すればよいと考えていませんか。実は、その方法には危険が伴うかもしれません…
大きな地震などが起こったあとは、下水の配管が破損しているかもしれません。汚物を下水へ流せず、逆流してしまう事例もあります。またマンションなどでは、上階の汚物が1階のトイレにあふれてしまうといったケースも起こります。一軒家でも2階などから流す場合は注意が必要です。

下水処理施設が被災

洪水による浸水や地震による建物損壊など、下水処理施設が稼働できない状況も考えられます。自宅付近では大きな被害がなくても、大元の施設が使えなくなる場合もあります。
下水管や処理場が復旧しないと排水が機能しなくなります。汚水が臭気を放ち、疫病の原因になる恐れがあると危惧されています。

仮設トイレの設置に時間がかかる

東日本大震災・熊本地震などの経験を踏まえて、仮設トイレの迅速な設置などの対策は進んでいます。しかし、交通渋滞や道路の寸断などにより物流が停滞し、仮設トイレの設置に数日以上かかる可能性も否めません。東日本大震災では、3日以内に届いた自治体はわずか34%でした。また、災害時にはごみの回収も停止してしまい、汚物を含めたごみを自宅で長期保管せざるを得ない状況も起こります。

命にもかかわる?災害時に起こる「トイレトラブル」とは?

命にもかかわる?災害時に起こる「トイレトラブル」とは?
 参照元:日本赤十字社 災害時シミュレーションより抜粋

何日もトイレが使えないと、さまざまなトラブルが起こります。
実際に東日本大震災において避難所でのトイレ問題が深刻化していました。トイレ問題は、命にもかかわる重要なことです。その危険性を具体的に解説します。

感染症の危険が高まる

断水が続けば、避難所での避難・在宅避難にかかわらず、水が十分に使えず清掃が行き届きません。汚物が溜まり悪臭が充満したり、便器や足元が汚れたり、衛生状況がとても悪くなります。そのため、下痢や嘔吐などの消化器疾患やノロウイルスなどの感染症が広まりやすくなってしまいます。

健康被害の心配

汚いトイレには行きたくないというのが素直な気持ちでしょう。そのため、できるだけ水分接収を控えてしまい、脱水症状を起こすケースも考えられます。また、トイレを我慢して膀胱炎などの病気になるかもしれません。

順番待ちが長い

内閣府では、災害発生当初は約50人当たり1基の仮設トイレを用意するようにすすめています。しかし、自治体によっては十分な数を用意できない可能性もあるでしょう。
しかし、いつどこで被災・避難する分からないのが災害です・・・
避難者の多い施設では長時間待たなければいけません。一人あたりの排泄時間を2分と考えると、たった10人の列でも20分並ぶことになります。屋外に設置されることも多いため、寒さ・暑さ対策も必要です。

精神的なストレスも大きい

自由にトイレに行けない状況はストレスも大きく、メンタル面への負担も心配です。共用トイレでは、落ち着いて用を足せず、便秘などに悩む方もたくさんいます。また避難所では男女兼用のことも多く、プライバシーの観点からも、防犯面からも、不安が大きくなりやすいでしょう。

女性だからこそ起こるトイレの悩み

排泄はデリケートなことなので、なかなか悩みを打ち明けられず改善が遅れがちです。トイレが満足に使えない問題は、年齢・性別を問わず大きなものですが、女性特有の悩みもあります。

共用トイレが男女別になっていない

避難所の仮設トイレは、男女共用になっていることが多いのが現状です。音やにおいの問題もあり、できれば異性のいない環境がよいというのが本音ではないでしょうか。また、男女共用であることから、性犯罪が起こる可能性も秘めており、不安がつきません。

生理用品も不足しがち

避難時には生理用品が用意していないことが多いため、不衛生な状態が続くことがあります。デリケートゾーンのトラブルは、さまざまな感染症や婦人病など健康被害につながります。避難が続くと、栄養状態がよくなく免疫力が落ちているため、より衛生的に保つ必要があります。

災害で起こる「トイレ問題」に備えることが大切です

災害で起こる「トイレ問題」に備えることが大切です

思っている以上に大きな問題をはらむ「災害時のトイレ」。食料や飲料水などの避難グッズをそろえることや、ハザードマップで避難経路を確認することは、多くの人が意識するようになっています。しかし、トイレ問題を耳にする機会は少ないかもしれません。

命にもかかわり、避けては通れない災害時のトイレについて、しっかりと危険性を知り、準備をしなければいけません。次の記事では、具体的にどのような対策をするとよいのかをご紹介します。

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