夏の防災対策 季節に合わせて中身の見直しのすすめ
災害はいつ起こるかわかりません。夏場の暑い時期には、台風や大雨などの災害が起こり、避難をしなければならない可能性が高まります。寒さ対策や乾燥による感染症予防が必要な冬とは異なる防災対策が必要です。本格的な夏を前に、夏場の防災に必要なことを見直して準備しておきましょう。
夏の避難でおこる問題
災害はいつ起こるかわからないため、1年を通して避難時の食料や飲料水を備蓄しておくことが大切です。しかし、夏と冬では、避難をする際の環境が大きく変わるため、夏には夏の防災対策をしなければなりません。では、夏の避難ではどのような問題が発生するのでしょうか。夏ならではの課題を整理してみましょう。
停電で冷房設備が使えない
地震・大雨・台風などの災害でライフラインが止まると、エアコンや扇風機も使えなくなります。夏の暑い時期には、室内外に関わらず熱中症の危険性が高まります。避難所は風通しが悪い状況になりやすく、たくさんの人が集まるため、熱気がこもりやすくなるでしょう。そのため、熱中症になる可能性があります。
停電で冷蔵庫が使えない
停電による影響は、食品管理にも大きく関わります。冷蔵庫が使えないことで、食材が腐りやすくなります。電気だけでなくガスが使えないと調理もできず、その間に食材を痛めてしまいかねません。
断水で水分補給ができない
断水により十分な水が確保できないと、飲料水や生活用水が不足します。熱中症の危険が高い時期の水不足は、命に関わる重要な問題です。また、汗を流すためのお風呂やシャワーが使えないために、不快な状況になります。
不衛生な環境になる
ライフラインが使えない状態では、衛生管理も十分に行えません。不衛生な環境は菌の発生を促し、暑さと湿度で腐りやすい食品が胃腸炎などの原因にもなります。疲労で免疫力も下がる避難生活では、感染症にもつながるため感染症拡大のおそれも考えられます。
熱中症対策
夏の防災で重要なのが「熱中症対策」です。ライフラインが止まってしまったときには、避難所でも在宅避難でも、命に関わる熱中症になる危険があります。
熱中症とは?
そもそも熱中症とは、高温多湿な環境でめまい・立ちくらみ・筋肉の硬直・気分不良などが起こることを言います。災害時には、水・電気の供給が制限されます。また、不特定多数の人が集まる避難所は、さらに熱気がこもり熱中症になりやすい環境です。
水分補給
熱中症対策でもっとも重要なのが、水分補給です。災害時は、トイレに行く回数を減らすために水分摂取を控える傾向があります。しかし、高気温・多湿な環境では脱水症状を引き起こす可能性が高いため、こまめに水分を摂ってください。飲料や食事などからの総摂取量として、大人1人あたり約3リットルの水が必要です 。夏場はとくに飲料水の備蓄を増やしておきましょう。
塩分補給
停電や使用制限が起こる避難時には、避難所・在宅避難に関わらず冷房・扇風機が使えません。復旧作業で身体を動かすことも多く、汗をかきやすい状態です。そのため、水分だけでなく汗とともに失われる塩分も摂るようにしましょう。
からだを冷やす
からだを冷やす工夫も重要です。電気が使えなくても涼しく過ごせるように、冷却グッズを活用しましょう。携帯型の扇風機やうちわ・ネッククーラーなどを防災セットに加えておくとよいでしょう。また、通気性・速乾性に優れた衣類を着用するようにしてみてください。
日差しから身を守る
日中の避難や屋外作業がある場合は、直射日光を避けるように帽子や日よけになる長袖の衣類を用意しておきましょう。避難所では、窓から差し込む日光を遮れない可能性もあります。日よけのカーテン代わりになる布や日傘を上手に使い、陰を作ってみてください。
衛生対策
夏場の避難では、熱中症対策と同様に衛生対策も必要です。菌が繁殖しやすくなる高温多湿な環境は、衛生環境も悪化しやすく、においの問題も深刻です。
からだふきシート
お風呂やシャワーに入れない環境でも、身体を清潔に保つためにからだふきシートを用意しておきましょう。汗をかいて不快に感じやすい季節だからこそ、身体をすっきりさせると気持ちの負担も軽くできます。子どもが使っても安心のノンアルコールタイプがおすすめです。
水がいらないシャンプー
身体だけでなく、頭髪・頭皮ケアも必要です。水や湯を使って洗い流す必要のないシャンプーがあれば、十分な水が使えない環境でも汗やべたつきを解消できます。
マウスウォッシュ・歯磨きシート
口内環境が悪化すると虫歯や歯周病になります。免疫力の低下にもつながり、ストレスが多く疲れやすい避難生活でさまざまな病気を引き起こす要因になりかねません。マウスウォッシュや歯磨きシートも用意しておき、口の中も清潔に保てるようにしましょう。
タオル・着替え
汗をかいて濡れた衣服は、熱の放散を妨げます。不快なだけでなく、熱中症を悪化させるため、着替えを用意しておくようにしてください。支援物資の配布や救援活動など、活発に動く必要もあるため、動きやすい服装もあるとよいでしょう。
防臭袋
夏場は、菌が繁殖しやすいため、におい対策もしっかり行う必要があります。生ごみや汚れた衣類などを入れるための防臭袋を用意してください。
アルコールスプレー・アルコールジェル
除菌対策も重要です。こまめに手を洗えない環境になるため、アルコールスプレー・ジェルなども防災セットに入れておきましょう。
虫よけスプレー
夏場の避難では、虫対策が必須です。感染症にかかるかもしれないため、虫よけスプレーをしっかり備えておきましょう。
夏に合わせた防災セットの見直しをしよう!
季節によって、避難に必要なアイテムは変わります。夏には、夏の暑さに対する防災グッズを用意しましょう。とくに重要なのは「熱中症対策」と「衛生対策」です。本格的な夏を前に、しっかり夏の防災セットを見直してみてください。次の記事では、夏に必要なピオマの防災グッズを紹介します。