もしものときに慌てない!防災訓練の大切さを知ろう
災害の多い日本では、日常的に防災について考え、準備と対策をすることがとても大切です。
子どもが学校で防災訓練に参加した話を聞いたことのあるママ・パパも多いでしょう。多くの小中学校では、地震の発生を念頭に机の下に隠れてから、校庭に避難するなどの訓練を行っています。
では家にいる時や、家族がバラバラの時間帯に起こる災害での避難について考えたことはありますか?また災害には地震だけでなく、津波・大雨・台風・竜巻・雪害などさまざまなものがあり、複合的に発生する可能性も否めません。
今回は防災訓練とは何か、どのような内容で進められるのかを詳しく解説します。さまざまな災害の状況を想定して防災訓練をし、いざという時に慌てず行動できるようにしましょう!
防災訓練とは?具体的な内容や種類を知ることから始めよう!
防災訓練とは、災害が発生した際に迅速かつ適切に行動し、できるだけ未然に被害を防ぐために災害を想定して行う訓練のことです。
災害はいつ起こるか分からず、突然の予期せぬ状況に大人でも冷静さを失います。特に小さな子どもは、いつもと違う状況に不安を感じてパニックに陥ることもあるでしょう。
いざという時に慌てずに行動するためには、あらかじめ防災知識やスキルを身につけておくことが大切。また避難経路の確認や災害時の行動手順を理解する必要もあります。防災訓練を通して、災害発生時に取る行動をしっかり見直しましょう。
自助・共助・公助の考え方
災害時は、自分で身を守ると同時に「助け合う」ことが必要です。
助け合う関係性は、次の3つに分けられます。
- 自助(じじょ):自分自身・家族の身の安全を守ること
- 共助(きょうじょ):地域・コミュニティなど周囲の人との助け合い
- 公助(こうじょ):公的機関による救助・援助
防災訓練は市町村や消防署、会社などで開催されることが多くあります。訓練への参加は、地域やコミュニティの人たちと交流を深める機会となり、よりスムーズな共助関係を築ける側面もあります。
子どもにとっては、普段接することの少ない世代との交流で、思いやりの心を育てる機会にもなるかもしれませんね。
防災訓練の種類
防災訓練といっても、その種類は多岐にわたります。
内閣が提示している「総合防災訓練大綱」は、国や自治体の訓練で注意する内容が示されています。そのなかに書かれている自治体の防災訓練の例9つと、私たちの生活にも関係の深い具体例をご紹介しましょう。
1.自主防災訓練
自分だけでなく、まわりの人と連携をとることは避難体制を迅速に整えるためのかなめとなります。近隣の人や会社などの組織で協力できるような防災訓練に参加し、顔見知りになっておくことも大切です。
- 地域住民などの共助による初期消火
- 避難所までの避難
- 救援物資・支援の受け入れや調整
- 災害時の安全対策・防災用品・非常持ち出し品の点検
- 家族との連絡方法の確認
2.緊急輸送路確保など
できるだけ早く避難したいために車で移動する、あるいは運転中に被災するといったケースもあるでしょう。車を置いて避難する際に重要なポイントをしっかり押さえておきましょう。また避難や救急支援の妨げになっている置き去り車両の撤去方法なども、事前に知っているといざという時にスムーズに動けます。
- 災害時の運転方法の普及啓発
- 道路の障害物や放置車両の撤去
3.ライフライン確保・対応、物資の調達・ 輸送等の訓練
主に自治体の人向けの訓練内容ですが、避難後は人手不足で、避難者自らが動く必要もあります。機会があれば専門的な知識を学ぶとよいでしょう。
- 通信・電力・ガス・上下水道などの代替手段確保
- 医療機器の点検と使用方法の習熟
4.混乱防止・帰宅困難者対策訓練
これも商業施設や交通機関従事者向けの訓練ですが、こういったことが行われていることをあらかじめ知ることで現場のパニックを減らすことができます。
不特定多数の人が集まり、災害時に心理的不安を誘発しやすい場所での「情報伝達」「避難誘導」「対流状況把握」「輸送」などの訓練
5.地震以外の災害が懸念されるエリアでの訓練
- 津波
- 水害
- 土砂災害
- 火山
- 雪害
6.それぞれの場所で参加できる訓練
- シェイクアウト訓練(※注)
- 被害想定の周知と事前学習
※シェイクアウト訓練とは:一斉防災訓練。あらかじめ決められた日に、事前に参加登録した人が、訓練開始の合図と同時に命を守る3動作(姿勢を低くする・頭からだを守る・揺れがおさまるまでじっとする)を行う訓練のこと。訓練後は自主的に終了し、自治体へ完了報告を行う。
7.感染症の拡大防止に配慮した訓練
- アプリ・顔認証システムの活用
- パーティションなどを活用した滞在スペースの確保
どれもきちんとした知識を持ち、緊急時に適切な対応のために重要な訓練です。消防訓練では、消火器やホースの使い方を実際にさわることで理解できた、参加することで、近隣の人と顔なじみになり日ごろから挨拶をするなど子どもの防犯対策にもつながると言った声も聞かれます。「自主防災訓練」は、備蓄品・非常持ち出し袋の点検など、家庭でできることもあります。さっそくご家族でやってみましょう。
近年、更衣室・授乳室、トイレなどの女性専用スペースを設置したり、防犯ブザーや生理用品を用意したり、女性視点を取り入れた避難所開設訓練も行われています。
子どもとの避難生活をより安全・安心なものにするために、自治体が開催する訓練に参加し、ママの意見を直接届けることも大切かもしれませんね。
防災訓練の実情と必要性
毎年、9月1日「防災の日」や11月5日「津波防災の日」を中心に全国で防災訓練が行われています。防災訓練の重要性は分かっていても、いざ参加しようと思うと勇気が出せない方もいるのではないでしょうか。防災訓練の実情と大切さを、改めて見ていきましょう。
防災訓練の参加率とリアルな声は?
2017年の内閣府「防災に関する世論調査」では、国や自治体などで行われている防災訓練への参加・見学をしたかどうかの質問に対して、参加したことのない人が半数以上という結果でした。
訓練が行われていることを知らない人が多く、知っていても申し込み方法が分からないといった声も聞かれ、まずは知ってもらうという課題が浮きぼりになっています。
参加・見学した人は、「防災の大切さをしる機会となった」「災害時に自ら取るべき行動について知る機会となった」という回答が得られ、有意義な時間を過ごせたことが分かります。
防災訓練の必要性
防災訓練は、なぜ必要なのでしょうか?
消火方法や応急処置などの防災知識がつくだけでなく、実際に行動することで記憶に残るため、もしもの時に落ち着いて行動しやすくなります。
人命救助に大きな役割を果たすAED(自動体外除細動器)は、2014年以降、特別な資格がない一般の人でも使えるようになりました。しかし、実際に使用するのは怖いと感じるのが素直な気持ちですよね。防災訓練の一環としても行われる救命講習などを受けることで、知識と体験が背中を押し、より確実な人命救助へつなげることができます。
このように訓練を受けることで、しっかりと知識がつき、迅速かつ適切な行動をとれるようになるのです。
また地域交流ができることも大きなメリットと言えるでしょう。普段から顔見知りであれば、いざというときにも安心です。
防災訓練に参加するには?
そもそも防災訓練が行われていることを知らなかったという声が多いことが、前述の内閣府世論調査で分かりました。たしかに学校や会社など違い、国や自治体の防災訓練の開催情報はダイレクトに届かず、自分でアンテナを張らなければいけません。防災訓練に参加するには、開催情報を知ることから始めましょう。
自治体や民間企業で行われている防災訓練
まずは、お住まいの市町村が発信している広報誌やホームページをチェックしてください。情報提供用のSNSアカウントやアプリを運用している自治体もあるので登録しておくと、自動的にお知らせが届くので確認忘れがなく安心です。
内閣府の「TEAM防災ジャパン」や国土交通省「防災ポータル」なども、有意義な情報が満載でおすすめです。日ごろからチェックしておきましょう。
また民間企業が、「夏休みの親子で体験する防災イベント」などを企画していることがあります。子どもが楽しく防災について学べるいい機会となるので、長期休みのタイミングなどで探してみてはいかがでしょうか?
家庭で行う防災訓練のアイディア
忘れてはいけないのが、家庭でできる防災訓練です。防災の日など特定の日を決めて、家族で話し合いや避難訓練をすることをおすすめします。
- 備蓄品が不足していないか、消費期限が切れていないかのチェック
- 避難用持ち出し袋を背負って避難所まで歩いてみる
- ハザードマップを見ながら地域の災害の歴史を話す
- 災害用伝言ダイヤルを使ってみる
このように自宅にいながらできることはたくさんあります。防災意識を高めるために、おうちで楽しみながら防災訓練をすることから始めてみましょう。
災害別の避難訓練の方法
では次に、具体的な避難訓練の方法について解説していきます。以下の災害ごとの避難方法について見ていきましょう。
地震の場合
世界的にも地震の多い日本では、日常生活から避難を含めた対策を講じておくことが必要不可欠です。しっかりとした避難訓練による準備は、地震発生時の被害・二次被害を最小限に抑えられる可能性を高めることができます。地震による避難訓練のポイントは以下のとおりです。
- 頭を守る
- 机やテーブルの下などに隠れる
- 避難経路の確保
- ガスの元栓を閉めてブレーカーを落とす
地震が発生した際には、揺れに気づいたらすぐに机の下などに避難します。周囲に人がいれば机に速やかに隠れるよう指示し、机に体が全て隠れているかどうかもチェックします。場合によっては、落下物で扉や出口が破損してしまうかもしれません。なるべくドアは開けておき、避難経路を確保しておくように心がけましょう。
火災の場合
日本では自然災害として地震が多いですが、同様に発生リスクが高いのが火災です。火災における避難訓練では、以下のポイントに注意しましょう。
- 火元と風向きを確認する
- 煙をなるべく吸わない
まず火災が発生した際に意識したいのは、火の出どころはどこかということです。火元が分からなければ、どこから避難すべきかも決めることができません。出火元が判明したら、避難時にはなるべく火から遠くに逃げるようにします。風向きも確認し、ある程度火の燃え広がる方向がわかったら速やかに避難することが大切です。
また、出火元は必ずしも一つとは限りません。周囲の様子を慎重に確認しながら避難経路を確保するようにしましょう。
ほかにも、火災で注意すべきなのが一酸化炭素中毒です。煙や熱い空気は、上方へ上がる性質があるため、下の方や部屋の隅に新鮮な空気が残っている可能性があります。浅めの呼吸をしながら、できるだけ姿勢を低くして避難するようにしましょう。
また、タオルやハンカチを口や鼻にあてながら避難することを忘れないようにしましょう。この際、タオルを濡らすのも大切ですが、それよりも鼻や口からタオルを一瞬たりとも離さないことの方が大切です。タオルが乾いていたとしても、まずはぴったりと鼻や口にあてがうようにしましょう。
水害の場合
台風や洪水といった水害は、ある程度天気予報で発生するタイミングを把握することができるので、事前の対策もしやすいです。
台風や大雨などが予想される場合は、子どもを外に遊びに行かせないように注意します。また、洪水や浸水の場合、近隣に氾濫しやすい海や河川がないかの確認が非常に重要です。
洪水や浸水を回避するために高台に移動したり、停電に備えたりといった対策をしておきます。また、各自治体が発表しているハザードマップもあらかじめ確認しておき、どの程度の洪水で自宅が浸水するのかを把握しておきましょう。
竜巻の場合
洪水や台風と同じく、竜巻も天気予報であらかじめ予測がしやすい災害です。竜巻発生の予報が出された場合には、窓ガラスにカーテンをして窓から離れるようにしましょう。
防災訓練は大切です。家でできることも見直しましょう。
災害はいつ起こるかわかりません。もしものときに慌てないように、定期的に防災訓練を行い、日常的に防災意識を高めましょう。防災訓練は消火活動や情報伝達訓練など、さまざまな視点から行う必要があります。
でもまずは、おうちでできることから始めてみましょう。次の記事では、防災用の備蓄品の見直し方法やおすすめ防災グッズをご紹介します。防災の日など、年に1回でもよいので、備蓄品のチェックを行いながら家族みんなで防災について話し合う機会を作ってくださいね。