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東日本大震災の長期停電や電力不足から学ぶ停電時の対応方法

大きな災害が発生すると、さまざまなライフラインが停止する可能性が高まります。特に、現代社会では電気・ガス・水道・通信が止まってしまうと、日常生活に大きな影響がありますよね。なかでも、電気は生活になくてはならない大切なエネルギー。
東日本大震災では、津波により発電所が大きな被害を受けたこともあり、長期にわたり電力不足で供給が行き届かない事態となりました。本記事では、東日本大震災でのデータをもとに、停電で困ることや急な停電のために備えるべき対策をご紹介します。
家族の安全・安心のために、停電時の対策を見直してみてくださいね。

東日本大震災で起こった停電・計画停電

東日本大震災で起こった停電・計画停電

2011年3月に発生した東日本大震災では、東北地方のみならず首都圏を含む関東エリアでも停電になりました。実際に、どれくらいの規模でライフラインが止まる状況になったのか、データを参考にしながらみていきましょう。

停電解消まで「3か月以上」という現実

停電解消まで「3か月以上」という現実

地震発生後に起きた東北地方の停電は、486万戸に及びました。そして、停電がすべて解消されたのは、発生から3か月を過ぎた6月18日です(津波被害により家屋等が流出した場合や福島県内の立入制限区域などを除く)。送電線や変電施設などの配電設備の復旧には、時間がかかります。そのため、最大3か月もの長い期間、電気を使用できない地域がありました。

ちなみに、東日本大震災では、ガスの最終復旧は5月17日で、停電解消より約1か月早く完了しました。しかし、一般的には電気が早く回復するといわれています。現在、内閣府による「首都直下地震等による東京の被害想定」では、電気→上水道→ガス(都市ガス)の順に復旧すると予想しています。

なお、それぞれ復旧までに要する日数は以下の通り。

  • 電気 約4日
  • 上水道 約17日
  • ガス(都市ガス) 約42日間

日々の生活を振り返ったときに、3日以上電気なしで暮らせるでしょうか?約4日(あるいはそれ以上)も停電する可能性があるという状況をふまえて、電気が止まってもある程度の生活ができる備えが必要です。

首都圏で起こった「計画停電」

東日本大震災では、発電所や変電所・送電設備に大きな被害が発生しました。そのため、電力不足が想定され、地震による直接的な被害がないエリアで3月14日から計画停電が行われました。

電力の需要が供給を上回ると予想されるときに行われるのが「計画停電」です。あらかじめ一部の地域で電力供給を止めて、大規模停電が起こらないようにします。計画停電は、東日本大震災のような地震だけでなく、夏場の電力需要急増などでも行われることがあります。計画停電は事前に知らされるものの、いつ、どれくらいの期間続くかは予想が難しいでしょう。実際に、東日本大震災直後の計画停電では、東京電力管内で約2週間の間、約3時間ずつ実施されました。いつ行われてもよいように、きちんと準備をしておきましょう。

停電解消後の二次災害「通電火災」

停電が起こっているときにも不便や危険がありますが、復旧したあとにも注意が必要です。「通電火災」をご存じでしょうか?これは、地震などによる停電が復旧したときに、室内に倒れた電気ストーブや照明器具に通電し、近くにある燃えやすいものに着火して起こる火災をいいます。地震だけでなく、台風や大雨などで雨漏りが起こりコンセントや天井裏の配線が濡れた状態で復旧し、ショートして火災になるケースもあります。

停電解消後の二次災害「通電火災」

東日本大震災の本震による火災のなかで、原因が特定できているものの半数以上が電気関係による出火でした。内閣府でも、地震の揺れを感知して電気を自動的に止める「感震ブレーカー」を設置するようにすすめています。

停電時に本当に困る事

私たちの日々の暮らしに欠かせない電気。いざ、突然停電になったときには、どのような弊害があるのでしょうか?大地震や暴風雨の被害と同時に発生すると、さらにパニックになってしまうでしょう。ここでは、停電時に困る事を考えてみます。

照明が使えない

停電が夜間に発生した場合、周囲が真っ暗になります。地震時には、家具や物が倒れていたり、ガラスが割れていたり危険です。手元や足元がなにも見えず、状況が確認できないため、ますます不安になるでしょう。緊急時に照明代わりになるものを用意しておきましょう。

冷蔵庫が使えない

停電時に困ることの一つに、冷蔵庫が使えなくなるというものも挙げられます。中に入れている食品が傷み、冷凍庫の氷がとけて水浸しになります。停電したときは、保冷剤を利用して冷蔵庫をクーラーボックス代わりすれば、しばらくの間は食品を保管できます。あらかじめ非常時に備えて、多めに保冷剤を冷凍しておくともしもの時に役立つでしょう。
また、停電時は、できるだけ傷みやすいものから使うようにしてください。氷はポリ袋などに入れて、溶けても漏れないようにしておきましょう。

スマホの充電ができない

多くの電化製品が使えなくなりますが、なかでもスマートフォンの充電ができないと不便を感じる方が多いようです。災害発生直後は通信障害が発生して、通信ができないこともありますが、オフラインで利用しているアプリやデータもあるでしょう。モバイルバッテリーなどを準備しておくことをおすすめします。また、普段はスマホを使って電子マネーを利用している人もいると思います。通信障害時の買い物や公衆電話の利用のために、現金も用意しておきましょう。

調理機器が使えない

停電すれば、IH調理器は使えません。ガスコンロやガス給湯器でも、着火に電池以外の電気を利用している場合は使えないケースもあります。
また、震度5以上の地震では安全装置が働きガスメーターが止まるようになっています。地震でガスコンロが使えないときは、メーターが止まっている可能性もあるので、あらかじめ解除方法を確認しておきましょう。
停電時は換気扇が使えないので、ガスを使用する際は窓をあけるなどして必ず換気をしてください。揺れが原因でガス漏れが起こっているかもしれないので、ガス臭くないかもしっかりチェックが必要です。

急に起きた停電時、とるべき対応

ここまで、東日本大震災で起こった停電被害や通電火災などの二次災害について、また停電が起こったときに困ることについてお話してきました。
では、実際に急な停電が起きたときには何をすればよいでしょうか。日ごろから意識し、準備をしておけば、いざというときに慌てずに対処できますので、しっかりと対策方法を考えておきましょう。

手元・足元の明かりを確保する

夜間に急な停電が発生したときに、すぐに手元・足元を明るくできるように懐中電灯などを用意しておきます。大きな地震では物が散乱し懐中電灯がすぐに見つけられなかった、いざという時に電池が切れていたという失敗談を耳にします。命にかかわる問題なので、日ごろからきちんと固定した場所に置く、また懐中電灯が点灯するかどうかチェックするなど対策をとってください。紛失や電気切れの心配がない、コンセント充電式の常夜灯・足元灯もおすすめです。

電源プラグを抜く・感震ブレーカーを設置する

停電復旧後の通電火災を防ぐために、家電の電源を切る・電源プラグを抜く・可燃物を電気ストーブの近くに置いておかないなどの対応をしてください。避難するときには、数多くの家電すべての電源をオフにしておく必要があります。
しかし、一刻も早い避難が必要な場合などは、パニックになり対応できないことも…。ブレーカーは高い場所に設置してある家も多いので、緊急時にはどうしても難しい場合もあるでしょう。そこで、「感震ブレーカー」を設置しておけば、強い揺れを感じると自動的に電気を止めてくれるので緊急時には非常に安心です。

食品・飲料水を確保する

停電が長引くような状況では、ガスや水道などのライフラインが止まることが多いと思います。そのようななかで、在宅避難をしなければならないかもしれません。電気やガスを使わなくても調理できる非常食や飲料水を、少なくとも3日分は用意しておきましょう。住んでいる地域によっては自治体からの配給が遅れる場合もありますので、1週間分の備蓄が望ましいでしょう。

電気の代替品を用意する

電気やガスを使わずに、水や食品などを温められるヒートパックやカセットコンロを用意しておくことをおすすめします。食事や防寒などに役立ちます。また、アウトドアやキャンプでも使えるポータブル電源や太陽光発電パネルなども、停電時にあると便利です。

東日本大震災の停電や電力不足に学びしっかり備えよう!

東日本大震災の停電や電力不足に学びしっかり備えよう!

甚大な被害のあった東日本大震災。地震発生後には、広範囲にわたり停電があり、最長で復旧に3か月を要しました。また、電力供給不足により首都圏で計画停電が行われるなど、電気が使えない状態となっています。停電は、日常生活に大きな支障をきすため、日ごろから、停電に備えておくことが大切です。次の記事では、停電への備えについて詳しくご紹介します。

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